「花魂 HANADAMA」五日目の断片映像です。お恥ずかしいながら、私のビデオを回すのを忘れました。思い出した時はすでに遅く、私は椅子を背後から抱いて、床にころがっていました。そこで、上野雄次さんの記録映像を拝借しました。撮影は、李江嵐さんです。ありがとうございました。いつもの私の映像は固定なので、違った視点から撮られているのが興味深く映ります。
内容は即興ですが、題材は、泉鏡花の『高野聖』です。冒頭に現われるヤマビルを登場させ、それがJR市ヶ谷駅のそばの土手にいるので、現在と過去を、ヤマビルで結びつけました。旅の僧が、『高野聖』中の、妖しい女に会います。レースのワンピースを着た私は、その女です。旅の僧が、椅子です。女が後ろから僧を抱える場面は、忘れがたいもので、今回、生かしました。
「花魂」では初日に、西行の「ねかわくは 花のもとにて春死なん そのきさらきの もちつきのころ」を詠み、これが一貫したテーマになりました。その西行が、死のうとして死ねないまま、21世紀の現代まで生きて、旅をしています。そして谷中ボッサにも来たということ。市ヶ谷の土手も歩き、ヤマビル注意の看板を見たと思います。妖しい女に会うのは高野聖ですが、鏡花が書いた『高野聖』が、死ねない西行ではないと、誰がいえるでしょう。西行だったかもしれません。西行が、妖しい女に背後から抱かれなかったとはいえないのです。
五日目は、非常にエロティックな内容になりました。しかし、ためらいはありません。ああ、本当は、女に背後から抱かれた僧に、花の中にいるようだという、大切な思いを語らせるべきでした。『高野聖』に忠実に行うなら、それをすべきでした。流れの中で、その言葉が出てきませんでした。即興であり、『高野聖』の再現ではないのですから、失敗とはいえません。しかし、心残りです。明日、詠みましょうか。つまり、花はエロティックなものだということを、いいたかったということです。
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